診断書作成はどうしてこんなに料金が高い?そして作成が遅いの?その理由は

こんばんは、東雲です。
ニチイの医療事務派遣で大きな総合病院の診断書窓口で働いていました。
その時、けっこう患者さんから言われたのが、
「ここの病院、診断書料金高いよね~しかも遅いし(泣)or(怒)」
…確かに。
多くの診断書料金は保険がかからず、全額患者さんの負担になるものです。
保険料を受け取るのに必要とは言え、診療費を払って、診断書料金もとなると、結構な額になってしまうこともあります。
そして少しでも早く欲しいのに、すぐにはできない。
愚痴の一つも言いたくなるってもんですよね。
今回は、診断書料金についての料金や遅い理由についてご紹介します。
診断書料金、なぜ高い?
診断書料金の大前提として、料金設定は各病院で自由に決めてよい、という事があげられます。そして保険適用外のものになります。
診察料については2年に1回などこまめに改訂があるのに、若干不思議に思っている部分でもあるんですが、今のところ診断書料金に関しては全国一律でいくらといったものがないんですね。
(保険算定できる文書除く)
そのため、言ってしまえば0円にするも、10,000円にするも、病院の自由ってわけです。
診断書料金が高い理由としては、保険適用外・自費払いのものの為、医師の法的責任が重い為、病院の収入源のひとつといったところがあげられると思います。
保険適用外、自費払いってどういうこと?
「診療費が数百円だったのに、診断書は数千円もかかる!診断書高いよ~!」
私も何も知らなかった時は、こう思ってました。
ですが、『診療費が数百円』
まずはここの認識がちょっと間違ってるんですね。
普段ほとんど気にすることはないと思いますが、保険証をみると、自分の負担割合が記載されています。
働く世代で一番多いのは、3割負担だと思います。
病院からの診療明細書をみると、初・再診料で72点、××処置で〇点といった形で点数が並んでますよね。
診療報酬の表し方ってちょっと変わってるんですが、1点が10円という計算になります。
なので、仮に合計して269点だったら、×10円で、料金は2,690円かかりましたよという見方なんですね。
でも患者さんに全額が請求されるわけではありません。
そこで出てくるのが、保険証の負担割合です。
3割負担であれば、2,690円のうち807円を負担してください。ということなんです。
残りは?というと、会社などで加入している保険者で負担してくれています。
ですが、診断書はその保険者さんで負担してくれる分がない、保険適用外や自費払いと呼ばれる支払い方法になります。
要は100%患者さんで負担するもの、とされているんですね。
ですので、診察料は数百円なのに診断書料は数千円といった見かけの金額の差がでてしまい、誤解が生じやすくなってしまうのです。
どうして診断書作成は保険適用外なの?
これは簡単に言ってしまえば、診断書作成は「病気やケガの治療のために行うもの」ではないからです。
例えばですが、皮膚科なんかでみたことありませんか?
湿疹の肌荒れなんかは保険で治療できるけど、シミ除去の為のレーザー治療は保険がききませんよ~といった注意喚起の掲示物。
シミ除去は傷病ではなく、美容のために行うものの為保険がきかないんですね。
診断書作成もそれと同じような考え方になります。
確かに、病気やケガをしたから診断書作成が必要になったという因果関係はありますが、では治療に関係するかと聞かれれば「No」ですよね。
それはわかったけど、でも診療費と比べても高くない?
こんな声もでるかと思います。
あとは、上でも書きましたが、診断書を書く上での先生の責任の重さ(診断書に誤りがあれば保険金がおりないといったこともあり得るので、思っている以上に責任は重いんです。)や手数料、といったことがあげられます。
実際、先生から、手間等かけているのだからもう少し診断書料金をあげて欲しい!といった声をきいたこともあります。
とは言え、診断書1通あたりいくらとか、そういった形で先生のお給料に加算されることはないそうです。(あくまでも私の勤務した病院は、ですが。)
また昨今は病院の経営も厳しいということもあって、診断書からの収入も見込まれている部分があるのは確かではあるようです。
果たして自分が通っている病院の診断書料金は高いのか?安いのか?
ちょっと気になりますよね。
産労総合研究所という所で2012年でちょっと古いんですが、実態調査を行っていたようです。(有効回答数が421なのでそんなに大規模ではないようですが)
気になる方はご参考までにどうぞ~⇒「産労総合研究所・文書料実態調査」
診断書料金は複雑になるほど高くて、時間がかかる
保険会社の診断書用紙ってみたことありますか?
病名から症状、検査内容、手術名や点数、入院期間などなど本当に事細かく記載欄があります。(もちろん患者さんの傷病によっては記載しなくてもいい部分もあります。)
先生方は診察の合間や診察後などに、これらを書く作業を行っています。
大きな病院などでしたら、先生の指示で代わりに診断書を書ける医療事務作業補助者の資格をもっているスタッフがいる場合もありますが、やはりまだまだ少ないと言わざるを得ません。
朝から夕方まで診療、手術がある日もあれば、患者さんの容態が急変した時の対応もあります。
しかも診断書の数は思った以上に多いです。
早く書きたいけど、書く時間がない!そういうジレンマをお持ちの先生がほとんどだと思います。
そんなことをちょっと頭に置いていただくと、お待ちいただくのも仕方ないかと思っていただけるのではないでしょうか?
…だめですかね?
それと、手術・検査をされた方が対象になりますが、もう一つ遅くなる理由があります。
手術・検査をした際、その組織検査を外部に依頼することがあります。
その場合、その外部の検査機関から結果がでないと診断書が書けないことがほとんどです。
検査結果は1週間ほどで出る場合もあれば、1ヵ月以上かかる場合もあります。
そういった処置したなーということであれば通常より時間がかかると思っておいていただくといいかもしれません。
さいごに
診断書作成の料金が高いわけ、遅くなってしまうわけ、幾分かでもご理解いただけたら嬉しいです。
先生方も誤りがないよう、不備がないよう、お忙しい中診断書作成にあたってくれています。
お急ぎかとは思いますが、そこは少し寛容な心でお待ちいただけたらと思います。
そして、もしご依頼の際に先生とお話するようなことがあれば、「早めにいただければありがたいですが、どうぞ無理なさらずお手すきの時に」などお話しいただくと、やはり先生も人の子、印象の良い方のは筆が進むというものです(笑)
中には、言葉通り受け取って1か月も2か月も待たせる先生がいなくはないのですが…(苦)
あとは、気が長く、不確定な話になってしまいますが、どこの病院でもアンケートや意見書を受け付ける部署などあるはずなので、そちらに診断書が高い・遅い等申し伝えるという手もあります。(匿名や無記名でたいがいOKなはずです。)
そういった声が多くなれば、病院側も改善策をだすことがあるかもしれません。
また、以前書いた記事を参考にしていただければ、場合によって診断書料金が幾分か抑えられることができるかもしれません。
よかったら、『依頼の多い診断書アレコレ。依頼する時に知っとくと役立つかも!』チェックしてみてくださいね。
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